多治見と美濃焼

 名古屋からJR中央線で約30分、厳岩をえぐり取ったトンネルを抜けると多治見の街です。
岐阜県の南々東に位置する多治見市は、面積77.86Ku、人口10万5千人。
やさしい山々に囲まれたこぢんまりした盆地で、あたりのなだらかな丘陵地帯のいくつかに平安灰陶の古窯跡や、鎌倉山茶碗の窯跡があります。
中央を土岐川が貫流し、この流れと平行するように中央自動車道、JR中央線が東西にのび、東へ土岐、瑞浪、恵那、中津川の各市が並んでいます。
東南方は笠原町、北西は可児市に接し、西は春日井市、南は瀬戸市と接して岐阜、愛知県境を画しています。

 岐阜県の岐阜市、大垣市を中心とする地域を西濃(西美濃)地方と言うのに対して、多治見市を中心とする近隣地域は東濃(東美濃)地方と呼ばれます
この東濃地方は、すでに平安時代から優れた陶産地を形成し、千有余年の歴史と伝統を持つ「美濃焼の町」として知られています。
美濃焼産業に支えられ、美濃焼と共に発展してきた町です。

 美濃焼というのは、この地域で産する陶磁器の総称です。備前、萩、九谷、唐津など歴史のある陶産地の多くが、その地で産する焼き物の性質、特徴と同時に地名も重なって現されているのに対して、美濃焼の場合は土地の名を現しているものの、焼き物の性質、特徴までは示していません。
それは美濃焼では余りに多種多様な焼き物を産しており、簡単に言い表すことができないからです。

材質的に見れば、各種の陶器、磁器、炉器、土器があり、品種では美術工芸品や伝統工芸品から、和風、洋風の一般日用食器に割烹食器、花瓶などのインテリア関係から装飾品、玩具、喫煙具、タイル類、さらには最近注目されているニューセラミック、ファインセラミックの分野である理科学用品、工業用品、電磁器まで世界中のあらゆる焼き物が生産されています。

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