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116 印紙税のかかる文書とかからない文書

領収書や契約書に印紙を貼ることは知っていても、具体的にどのようなものに印紙税がかかるのか正確に知っている人は経理担当者でも少ないのではないでしょうか。印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、印紙税法別表第1に掲げられている20種類の文書が課税の対象となります。印紙税がかかる文書であるか、かからない文書であるかは、文書の表題や名称のみによって判断するのではなく、その内容によって判断することになります。

文書の作成フローチャート

1. 印紙税がかかる代表的な文書
印紙税法別表第1には第1号から第20号まで課税文書が区分されていますが、その中で経理実務上よくでてくる文書としては、以下の文書が挙げられます。

〈1〉第1号文書(不動産の譲渡や消費貸借に関する契約書)
(1) 不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書
不動産譲渡契約書、不動産交換契約書や事業譲渡契約書等が挙げられます。
(2) 地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書
土地賃貸借契約書等が挙げられます。一般的な建物(貸室)賃貸借契約書は不課税です。
(3) 消費貸借に関する契約書
金銭消費貸借契約書等が挙げられます。
(4) 運送に関する契約書
貨物運送引受書等が挙げられます。

〈2〉第2号文書(請負に関する契約書)
請負に関する契約書は印紙税が課税されます。具体例としては、建築請負契約書、保守契約書等があります。

〈3〉第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)
特定の相手方との間に継続的に生ずる取引に共通して適用される一定の取引条件をあらかじめ定めておく契約書をいいます(当該契約期間が3カ月以内であり、かつ、更新の定めのないものは除きます)。具体例としては、代理店契約書や継続的商品売買基本契約書等があります。これらの場合の契約書とは、契約書、覚書等の表題や名称のいかんにかかわらず、契約当事者間で契約の成立(成立、更改、変更又は補充の事実)を証する目的で作成される文書をいいます。

〈4〉第17号文書(売上代金に係る金銭の受取書等)
領収書やレシートなどの金銭の受領事実を証明するために作成した文書には印紙税が課税されます。しかし、記載金額が3万円未満のものや営業に関しない受取書は非課税となります。

2. 非課税となる文書
契約金が1万円未満のものなど別表第1の非課税物件欄に規定する文書や国、地方公共団体又は株式会社日本政策金融公庫等の別表第2に掲げるものが作成した文書等は非課税となります。

3. 印紙の納付金額
印紙税の納付金額は別表第1の各号の課税文書の区分に応じ、契約金額や受取金額等ごとに同表の課税標準及び税率欄に規定されています。ただし、平成9年4月1日から平成23年3月31日までの間に作成される不動産の譲渡に関する契約書又は建設工事の請負に関する契約書で契約書に記載された契約金額が1,000万円超のものは印紙税の納付金額が軽減されているので注意が必要です。

4. 消費税等の額が区分記載された契約書等の記載金額
消費税の課税事業者が契約書や領収書等の印紙税の課税文書を作成する場合で、消費税等が区分記載されている場合又は税込価額及び税抜価額が記載されていることにより、消費税等の額が明らかとなる場合には、その消費税等は印紙税の納付金額を計算する記載金額に含めなくてかまいません。逆にいえば、区分記載されていないときは、消費税を含めた記載金額で判断することになります。