前の解説へ 次の解説へ

119 解散・清算の税務

人の一生と同じで会社も生まれた以上いつかは最期を迎えます。

経済的に混迷を深めている今日、好況時に戦線拡大した事業や会社の整理・縮小は至上命題といえます。

会社の最後の迎え方には、業績悪化等の倒産で清算するケース、グループ経営の方針変更等で清算するケースなど、その理由は様々です。

また、最後の迎え方によってその手続は、倒産手続である特別清算手続、あるいは、破産手続、非倒産手続である普通清算手続のいずれかになります。

しかし、上記の手続は異なったとしても税務申告については共通です。債務超過だからといって申告義務が免責されることはないので、必ず、申告が必要です。

税務申告は確かに手間がかかって大変ですが、メリットもあります。例えば、欠損金の繰り戻し還付や仮装経理の還付によって過去に納税した税金を取り返すことも可能な場合があります。最終期の消費税は課税仕入れが大きく還付申告になることが多いのも事実です。還付ができるのに面倒だからと手続を失念することがないように注意したいところです。

今回は、法人が解散清算した場合の税務について、解説します。

1.解散と事業年度
法人税の事業年度は、会社法上の事業年度と同じですが、解散した時にはこの事業年度が変わります。いわゆるみなし事業年度です。なぜ、みなし事業年度を設けるかというと、課税方式が変わるからです。それまでは所得課税方式が適用されてきた訳ですが、解散日の翌日以降は財産課税方式が適用されることになります。解散日を境に課税方式が変更され、最終的に残余財産が確定したときに清算確定申告を行います。但し、残余財産確定までに1年以上を要する場合は、解散日から1年ごとに予納申告(暫定的に所得課税し確定で精算する)をします。

<普通清算手続>

−財産課税方式−
<貸借対照表>

2.財産課税で法人税を抑える
財産課税方式という清算手続の特徴を生かし、資産譲渡益等に対する税務問題の解決法として清算手続への移行が行われることがあります。例えば、資産譲渡益に対する所得課税の問題が解決できない時に、譲渡を行う前に財産課税が適用される清算手続に移行する方式です。

設例でみてみましょう。下記設例では、欠損金がすべて期限切れのため、所得課税が適用される場合は、資産の譲渡年度に課税所得が発生し、法人税及び地方税の納税が発生することになります。他方、財産課税方式が適用される清算手続に移行した後に資産の譲渡を行った場合は、残余財産がなければ原則として清算所得は発生しないので、法人税及び地方税の納税は発生しないことになります(但し、清算予納年度に発生することがあるので注意)。

<前提BS>

(1) 所得課税方式において譲渡したケース

(2) 財産課税方式において譲渡したケース(節税テクニック)

3.粉飾決算による過大納付税金の回収
金融機関から融資を受けるため、あるいは、経営審査で良い評価を得るため等、粉飾決算の目的は様々でしょうが、決して褒められることではありません。しかし、粉飾決算によって法人税等または消費税について過大申告と過大納付をしていた場合、5年以内に粉飾行為をしたものであれば、所定の手続きによって過大納付税金が戻ってくる可能性があります。

特に、長きにわたって粉飾し過大納付した税額が大きいときは、手続をするかしないかによって、債権者や株主に対する支払財源に大きな影響を与えることになります。

還付を受ける手続としては、法人が修正の経理(過年度損益修正損)を行い、税務署長に対して職権(減額)更正の嘆願をすることになります。