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138 海外勤務者の源泉徴収の取扱い

役員や従業員が海外の支店などに1年以上の予定で日本を離れる際には、「非居住者」「居住者」であるかどうか、締結している租税条約の内容等で取扱いが異なるため注意が必要です。

1.居住者と非居住者の給与に対する源泉徴収の取扱い

区分 定義 課税範囲と源泉徴収の取扱い
国内源泉所得 国内源泉所得以外の所得
居住者 国内に住所を有し、または現在まで引き続いて1年以上居所(※)を有する個人 課税 課税
非居住者 居住者以外の個人  課税
20%で源泉徴収
原則非課税 (役員の場合の例外あり)

(※)居所とは「その人の生活の本拠(住所)ではないが、その人が現実に居住している場所」を言います。

2.出国に伴う取扱い

(1)年末調整

日本を1年以上の予定で離れる場合には、日本を出国した日の翌日から日本の「非居住者」となりますので出国時に年末調整をしておく必要があります。年末調整の対象となる給与は、出国の日までに支給された給与です。この場合の所得控除についての取扱いは下記のように取り扱われます。

所得控除
社会保険料控除、生命保険料控除など 居住者であった期間(1月1日〜出国の日)に支払った金額
扶養控除、配偶者控除、障害者控除など 出国の日の現況により控除対象となる者の控除額を控除
雑損控除、医療費控除、寄附金控除 適用を受ける場合は確定申告が必要

(2)出国後の従業員給与の取扱い。

給与等の計算期間が1か月を超える場合には、出国時を境に支払う賞与を国内源泉所得と国外源泉所得にあん分し、国内源泉所得(賞与計算開始日から出国日)に対応する部分について20%の源泉徴収をする必要があります。