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149 平成24年度税制改正-所得税

平成24年度税制改正関連法が3月30日に、参議院本会議で可決、成立しました。このうち、個人所得課税に関する主な論点は下記のとおりです。

1.給与所得控除の見直し

給与収入が1,500万円を超える場合の給与所得控除に、一律245万円の上限が設定されました。

給与収入 〜162.5万円 300万円 500万円 800万円 1,000万円 1,500万円 2,000万円 2,500万円 3,000万円
現行控除額 65万円 108万円 154万円 200万円 220万円 245万円 270万円 295万円 320万円
改正控除額 65万円 108万円 154万円 200万円 220万円 245万円

※所得税は平成25年から、住民税は平成26年度分より適用となります。

2.退職所得課税の見直し

勤続年数5年以下の法人役員等の退職金について、2分の1課税が廃止されました。
<退職所得に係る所得税額の計算> 他の所得と区分して下記により分離課税

一退職所得控除の計算−

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数(最低80万円)
20年超 800万円十70万円×(勤続年数−20年)

一税率−

課税所得金額 税率 控除額

195万円以下
330万円以下
695万円以下
900万円以下
1,800万円以下
1,800万円超

5%
10%
20%
23%
33%
40%
0円
97,500円
427,500円
636,000円
1,536,000円
2,796,000円

※勤続年数の計算(原則)
・勤続年数に1年未満の端数があるときは、その端数は1年に切り上げて計算します>
・長期欠勤や一定の休職の期間も勤続年数に含まれます。

3.住宅ローン控除の見直し

住宅ローン減税制度が拡充され、省エネ性の高い「低炭素住宅」に対しては、通常の住宅よりも住宅ローン控除が拡大されました。

居住年 控除期間 住宅借入金等の年末残高の限度額 控除率
認定省エネ住宅 認定長期優良住宅 一般住宅
平成24年 10年間 4,000万円 4,000万円 3,000万円 1.0%
平成25年 10年間 3,000万円 3,000万円 2,000万円 1.0%

※控除額が所得税額を上回る場合は、翌年度の個人住民税から控除(最高9.75万円)されます。
※認定省エネ住宅制度は、従来の省エネ基準より高い環境性能を満たす住宅に適用され、建築主などが建築物の建築・維持保全の計画を作成し、自治体などに申請するものです。