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161 「生前贈与」活用のポイント

相続税の課税強化によって、「生前贈与」に注目が集まっています。主なポイントを整理しました。

1.「暦年贈与」と「相続時精算課税」

贈与税の課税方法には「暦年贈与」と「相続時精算課税」の2つがあり、一定の要件に該当する場合に「相続時精算課税」を選択することができます。

暦年贈与 相続時精算課税制度
贈与税の計算 (贈与額−110万円)×累進税率 (贈与額−2,500万円)×20%(一定)
適用対象者 誰でも 65歳以上の親から20歳以上の子どもへの贈与
*平成25年度改正で上記要件が緩和されました。
相続時の計算

相続時とは切り離して計算されます。(ただし、相続開始前3年以内贈与は課税価格に加算されます)

相続税の計算の際に、贈与税は精算されます。
制度の移行 暦年課税から相続時精算課税制度へ の移行は可能 相続時精算課税制度を選択した後で、従来の暦年課税への移行は不可能

2.住宅取得等資金の贈与

平成24年1月1日から平成26年12月31日までの間に直系尊属(父母や祖父母)から住宅取得等資金の贈与を受けた場合に、一定の要件を満たすときは以下の金額が非課税となります。

非課税限度額
 住宅の種類 平成24年 平成25年 平成26年
 省エネ住宅 1,500万円 1,200万円 1,000万円
上記以外の住宅 1,000万円 700万円 500万円

※相続時精算課税制度選択の特例
平成26年12月31日までの間に、親から住宅取得等資金の贈与を受けた20歳以上の子が一定の条件を満たすときは、贈与者である親の年齢が65歳未満であっても相続時精算課税を選択することができます。

3.教育資金の贈与

祖父母等(贈与者)が、金融機関等に子・孫(受贈者)名義の口座等を開設し、教育資金を一括して拠出した場合、この資金について、子・孫ごとに1,500万円が非課税となります。

4.贈与の事実を立証するための留意点

贈与する側:契約書や記帳で記録を残し、受贈者が財産を使用できる状態にすることが大切です。
贈与を受ける側:贈与税の申告書を提出すること(110万円超の贈与のほか、非課税特例適用の場合)