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179 平成26年分年末調整のポイント

平成26年分年末調整について、改正点を踏まえ整理してみました。

1. 改正点

(1)通勤手当の非課税限度額の引上げ
所得税法施行令の一部改正が行われ、交通用具を使用している給与所得者に支給する通勤手当の非課税限度額が次のように引き上げられました。改正後の1か月あたりの非課税限度額は以下のとおりです。

区分 課税されない金額
改正後
(平成26年4月1日
以後適用)
改正前
自動車や自転車などの
交通用具を使用している
人に支給する通勤手当
通勤距離が片道55q以上である場合 31,600円 24,500円
通勤距離が片道45q以上55q未満 28,000円
通勤距離が片道35q以上45q未満 24,400円 20,900円
通勤距離が片道25q以上35q未満 18,700円 16,100円
通勤距離が片道15km以上25q未満 12,900円 11,300円
通勤距離が片道10km以上15q未満 7,100円 6,500円
通勤距離が片道2q以上10q未満 4,200円 4,100円
通勤距離が片道2q未満 全額課税 同左

(2)住宅借入金等特別控除
住宅借入金等特別控除について、適用期限が平成29年12月31日まで4年延長されるとともに、住宅借入金等の年末残高の限度額等が、次のとおりとされました。

居住年 年末残高の
限度額
控除率 控除期間 各年の
控除限度額
最大
控除限度額
平成26年1月1日〜
平成29年12月31日
特定取得に
該当
4,000万円
(5,000万円)
1.0% 10年間 40万円
(50万円)
400万円(500万円)
特定取得に
該当しない
2,000万円
(3,000万円)
20万円
(30万円)
200万円(300万円)
特定取得とは住宅の取得等に係る消費税額等が、新消費税率による場合の住宅の取得等をいいます。
カッコ内の金額は、認定住宅の場合の住宅借入金等の年末残高の限度額等です。

2. 年末調整の留意点

(1)扶養人数
扶養親族は給与の支払を受ける人と生計を一にする親族で、合計所得金額が38万円以下の人です。控除対象扶養親族が年の中途で死亡した場合でも扶養控除は受けられます。同一世帯に所得者が2人以上いる場合には、その世帯内の扶養親族をそれぞれの所得者で分けて申告しても差し支えありませんが、1人の扶養親族を2人以上の所得者が重複して申告することは出来ません。

(2)借り換え等による住宅取得控除額
[1]
住宅ローンを借り換えした場合
住宅ローンの借り換えによる新しい借入金は、原則として住宅借入金等特別控除の対象とはなりませんが、次のすべての要件を満たす場合には、対象となります。
ア.
新しい借入金が当初の住宅ローンの返済のためのものであることが明らかであること
イ.
新しい借入金が10年以上の償還期間であること等住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること
[2]
繰り上げ返済によって返済期間が10年未満となった場合
その年以降の住宅借入金特別控除は受けられないこととなります。