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195 消費税軽減税率制度のポイント

消費税率引上げ(10%)に伴う低所得者対策として平成29年4月1日から消費税の軽減税率制度が導入されます。

1. 軽減税率制度の概要

項目 内容
軽減税率の対象品目
(1)
飲食料品の譲渡(飲食店営業等を営む事業者が、一定の飲食設備のある場所において行う食事の提供を除く)
※飲食料品は、食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除くものとする)
(2)
週2回以上発行される新聞の定期購読料
軽減税率 8% (国分:6.24%、地方分1.76%)
※標準税率10% (国分7.8%、地方分2.2%)
平成29年4月1日から
平成33年3月31日までの
経理方式
区分記載請求書等保存方式
売上税額又は仕入税額の計算の特例を設ける
平成33年4月からの
経理方式
適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス方式)の導入

2. 区分記載請求書等保存方式 (平成29年4月1日〜平成33年3月31日)

現行の請求書等保存方式を維持しつつ、区分経理に対応するための措置が講じられ、経過措置として複数税率(10%・8%)に対応した区分経理が困難な事業者等に対し、みなし割合を用いた税額計算方法が認められます。

計算の特例 内容
売上税額の計算の特例
(1)
仕入を管理できる卸売事業者・小売事業者
軽減税率売上割合=軽減税率対象品目の仕入額÷仕入総額
(2)
(1)以外の事業者
軽減税率売上割合=
通常の連続10営業日の軽減税率対象品目の売上額÷通常の連続10営業日の売上総額
(3)
(1)・(2)の計算が困難な事業者:軽減税率売上割合=50/100
仕入税額の計算の特例
(1)
売上を管理できる卸売事業者・小売事業者
軽減税率仕入割合=軽減税率対象品目の売上額÷売上総額
(2)
(1)の計算が困難な事業者
課税売上高が5千万円以下の中小事業者について、事後選択により、簡易課税制度の適用が受けられる

3. 適格請求書等保存方式 (平成33年4月1日以後)

項目 内容
概要 登録を受けた課税事業者が交付する適格請求書及び帳簿の保存が、仕入税額の要件とされる
適格請求書の記載事項 発行者の氏名又は名称及び登録番号、取引年月日、取引の内容、税率ごとに合計した対価の額及び適用税率、消費税額等、交付を受ける事業者の氏名又は名称
税額計算の方法 (1)適格請求書の税額の「積上げ計算」と、(2)税率ごとの取引総額からの「割戻し計算」の選択制
経過措置 免税事業者からの課税仕入れについては、適格請求書保存方式の導入後3年間は仕入税額相当額の80%、その後の3年間は同50%の控除が可能