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229 平成31年度税制改正大綱のポイント −個人所得税・資産税−

平成31年度税制改正大綱が平成30年12月21日に閣議決定されました。今回は、個人所得税と資産税の論点について解説します。

1. 個人所得課税

(1) 住宅ロ一ン控除の拡充

〈改正の概要〉
消費税等の税率が10%である住宅等の取得等をし、2019年10月1日から2020年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合について、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例が創設されました。

次に掲げる場合の区分に応じ、いずれか少ない金額を、現行の控除期間10年の終了後11年目から13年目までの各年において住宅借入金等特別控除額として控除できることになります。

一般の住宅の場合
(1)
住宅借入金等の年末残高(4,000万円を限度)の×1%
(2)
(住宅の取得等の対価の額又は費用の額−当該住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等)(※4,000万円を限度)×2%÷3
認定長期優良住宅及び
認定低炭素住宅の場合
(1)
住宅借入金等の年末残高(5,000万円を限度)×1%
(2)
(住宅の取得等の対価の額又は費用の額−当該住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等)(※5,000万円を限度)×2%÷3

(2)ふるさと納税制度の見直し

過度な返礼品を送付し、制度の趣旨を歪めているような団体については、ふるさと納税(特例控除)の対象外にすることができるよう、制度の見直しが行われます。2019年6月1日以後に支出された寄附金について適用されます。

2. 資産課税

(1)個人事業者の事業承継税制の創設等

〈改正の概要〉
個人事業者の事業承継税制が10年間の時限措置として新たに創設されます。内容は、認定相続人・受贈者が、青色申告の承認を受けていた個人事業者から、相続等又は贈与によりその個人事業者の事業の用に供されていた「特定事業用資産」を取得し、事業を継続していく場合には、担保の提供を条件に、その取得した特定事業用資産の課税価格に対応する相続税又は贈与税の納税を猶予するというものです。

(2)教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置の見直し

教育資金の一括贈与非課税措置は、所要の見直しを行った上で2年間延長することとされました。なお、次の適用期限到来時に、当該非課税措置の必要性について改めて見直しがされます。

受贈者の所得制限:教育資金の信託等をする年の前年の合計所得金額が1,000万円を超える受贈者は、非課税措置の滴用を受けることができないこととされます。

結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置について、教育資金の一括贈与非課税措置と同様に受贈者の所得要件設定を行い、適用期限が2年延長されました。適用時期は、2019年4月1日以後に信託等により取得する信託受益権等に係る贈与税について適用されます。

3. 仮想通貨に関する課税関係(所得税)

仮想通貨の取得価額を、移動平均法又は総平均法により算出するという改正が行われました。