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相続税の計算における税額控除について


相続税の計算においては、相続税から控除する税額控除があります。税額控除は、(1)贈与税額控除、(2)配偶者に対する相続税額の軽減、(3)未成年者控除、(4)障害者控除、(5)相次相続控除、(6)外国税額控除の6種類があります。税額控除の順序は、(1)から(6)の順によって控除することになります(相続税法基本通達20の2-4)。各種税額控除について確認してみたいと思います。

(1)贈与税額控除

相続又は遺贈により財産を取得した者が、相続の開始前3年以内に被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合には、取得した財産の価額を相続税の課税価格に加算して相続税の計算をしますので、贈与により取得した財産に課せられた贈与税を控除します。

なお、令和5年度税制改正において、令和6年1月1日以後の贈与について相続財産に加算する期間が7年に延長されます。

(2)配偶者に対する相続税額の軽減

配偶者に対する相続税については、同一世代間の移転であり次の相続により相続税が課税されること、共同生活が営まれてきた配慮、遺産の維持形成に対する貢献への考慮などから、課税財産の法定相続分に相当する金額(その金額が1億6千万円に満たない場合は1億6千万円)と実際の取得額とのうち少ない金額に対応する相続税額を控除します。

(3)未成年者控除

相続又は遺贈により財産を取得した者が18歳未満の者である場合には、養育等を考慮して、
18歳に達するまでの年数1年(年数が1年未満であるとき、又は1年未満の端数があるときは、1年とします。)当たり10万円を控除します。

(4)障害者控除

相続又は遺贈により財産を取得した者が障害者である場合には、多くの生活費がかかることを考慮して、85歳に達するまでの年数1年(年数が1年未満であるとき、又は1年末満の端数があるときは、1年とします。)当たり10万円(その者が特別障害者である場合には、20万円)を控除します。

(5)相次相続控除

短期間に相続が続いた場合は、相続税の負担が過重となることから、負担の調整を図り、10年に2回以上の相続があった場合には、前の相続において課税された相続税額のうち、一定割合相当額(1年につき10%の割合で逓減した後の金額)を控除します。

(6)外国税額控除

相続又は遺贈により法施行地外にある財産を取得した場合において、その財産について所在地国の法令により相続税に相当する税が課せられたときは、二重課税を防止するために、課せられた税額に相当する金額を控除します。