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33 固定資産課税台帳の閲覧制度

平成14年分の路線価図がこの8月から全国の税務署で公開されています。 また、9月10日からは国税庁のホームページでの公開も始まりました。 全国の路線価図・評価倍率表がインターネットで見ることができるわけです。

地価を反映して路線価の下落傾向は続いていますが、 来年、平成15年度は3年に1度の固定資産税評価額の評価替えが行われる年です。 固定資産税の負担はどうなっていくでしょうか。

さて、その平成15年4月1日からは、固定資産課税台帳の新たな閲覧制度が実施される予定です。 従来から、土地や家屋の所有者、つまり納税義務者本人の資産に関する部分については、市町村の 行政サービスの一環として閲覧ができることになっていましたが、平成14年度の地方税法の改正で、 閲覧制度が法定化されるとともに、借地人や借家人も固定資産課税台帳を閲覧できることに なりました。 閲覧制度のイメージイラスト

閲覧対象者の範囲が拡大された背景には、借地人等の支払う貸借料等には固定資産税が転嫁されている場合があり、固定資産税評価額が上がれば家賃等の改訂で値上げにつながるため、以前から、 借地人・借家人に対しても固定資産税に関する情報を開示すべきであると指摘されていたことが あります。

また、借地借家法では、借地人・借家人は、土地や建物に対する租税等の増減によって貸借料が不相当になったときには、契約の条件にかかわらず、将来に向かって地代等の減額を請求できる、とされていることも理由のひとつです。地代や家賃の交渉の際に、貸借している土地・建物の固定資産税額を知らなければ話しにならないというわけです。

このため、新しい閲覧制度では、納税義務者本人以外にも、閲覧できる者として、「土地または家屋について、貸借権その他の使用又は収益を目的とする権利(対価が支払われるものに限る)を有する者」が加えられることになりました。

今後は、借地人・借家人であっても、その権利の目的である土地や、家屋及びその敷地である土地、つまり、借りている土地・建物についての固定資産税額(課税台帳の記載事項)を知ることができるようになったのです。

なお、固定資産税については、従来からの縦覧制度についても見直しが行われました。自分の所有する不動産の固定資産税評価額が適正かどうか、周辺の他の土地や家屋の評価額と比較ができるように、市町村で縦覧用の帳簿が新たに設けられることになりました。平成15年度分の固定資産税から見ることができるようになります。