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105 後期高齢者医療制度と社会保険料控除

平成20年4月1日より導入された後期高齢者医療制度により、適用年齢になると国民健康保険や健康保険組合等を脱退し、後期高齢者医療制度へ移行されることに伴う、被保険者や被保険者の親族等にかかわる社会保険料控除の取扱いについて整理します。

1.後期高齢者医療制度の概要

満75歳となる誕生日当日に、他の健康保険等を脱退し後期高齢者のみの独立した後期高齢者医療保険制度の被保険者となる医療保険制度で、保険料は公的年金から特別徴収により徴収されます。ただし、一定の要件に該当する場合には申請により公的年金からの特別徴収ではなく銀行口座からの引き落としによることもできます。

2.社会保険料控除

納税者が本人または生計を一にする配偶者やその他の親族が負担することになっている社会保険料を負担した場合には、納税者が支払った金額については納税者の社会保険料控除の対象となります。

3.後期高齢者保険料の特別徴収と社会保険料控除

原則として保険料は公的年金から特別徴収の方法により徴収されるので、保険料を支払った者は公的年金の受給者本人となるため、後期高齢者医療制度における保険料の社会保険料控除が適用されるのは公的年金受給者本人となります。

たとえば、これまで生計を一にする納税者の母の健康保険料を息子である納税者が負担していた場合、納税者が社会保険料控除の適用を受けていましたが母の公的年金から特別徴収されることにより、母が保険料を負担したこととなるため社会保険料控除が適用されるのは母となります。

4.口座振替による後期高齢者保険料と社会保険料控除

平成20年10月以降の保険料については市区町村等へ一定の手続きを行うことにより公的年金からの特別徴収に代えて、被保険者の世帯主または配偶者が口座振替により保険料を支払うことができます。この場合には口座振替により保険料を支払った者が社会保険料控除の適用を受けることができます。

たとえば、生計を一にする両親を扶養している息子が両親の保険料を口座振替により納付する手続きをとれば、両親の保険料分、息子の社会保険料控除額が増加し所得税・住民税が少なくなります。

ただし、口座引落しの手続きをとるためには、後期高齢者医療制度加入前に国民健康保険料を滞納していないこと、年金収入が180万円未満であることなどの要件を満たしている必要があります。

5.介護保険料と後期高齢者保険料の違い

現在、介護保険料も公的年金から特別徴収されていますが、後期高齢者医療制度保険料のように、一定の要件の下に申請すれば口座振替による納付を選択することは認められていません。

たとえば、生計を一にする母を扶養親族として確定申告している納税者が、母の公的年金から特別徴収された介護保険料を納税者の社会保険料控除の対象とすることはできません。一方、後期高齢者医療制度では、保険料を納税者の口座引落しに変更することが可能なため、口座引落しの手続をとることにより納税者の社会保険控除の対象とできます。この点が両者の相違点といえます。