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186 二世帯住宅の小規模宅地の評価減

平成26年1月1日以後の相続から、二世帯住宅の「小規模宅地等の特例」の適用要件が緩和されました。また、平成27年1月1日以後の相続からは、限度面積が拡大されています。

1. 小規模宅地等の特例

(1)概要
小規模宅地等の評価減とは、被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族(以下「被相続人等」という)の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等がある場合には、一定の要件の下に、遺産である宅地等のうち限度面積までの部分(以下「小規模宅地等」という)について、相続税の課税価格に算入すべき価格の計算上、一定の割合が減額される制度です。

(2)減額される割合等
相続開始の日が平成27年1月1日以後の場合

宅地等の利用区分 限度面積 減額割合
特定事業用宅地等 400m2 80%
特定同族会社事業用宅地等 400m2 80%
特定居住用宅地等 330m2 80%
貸付事業用宅地等 200m2 50%

(3)適用要件
「被相続人等」の居住の用に供していた家屋の敷地で次のいずれかに該当するもの

  1. 配偶者が取得
  2. 被相続人と同居していた親族が取得し、申告期限まで引き続き居住かつ申告期限までその宅地等を有している場合
  3. 配偶者及び同居法定相続人がいない場合で、取得した親族及びその配偶者が相続開始前3年以内に自宅等を所有していない場合等
  4. 被相続人と生計を一にしていた親族が、相続開始まで自己の居住の用に供し、かつ申告期限までその宅地等を有している場合

2. 二世帯住一宅の適用事例

平成25年度税制改正により、二世帯住宅であれば、内部で行き来ができるか否かに関わらず、区分所有登記がされていない場合には、その敷地全体に小規模宅地等の特例を適用することが可能となりました。一方で区分所有登記がされている場合には、敷地の一部しか適用できません。二世帯住宅を取得する場合には、どのように保存登記するかも重要なポイントとなります。

〈区分所有建物の登記がされていない1棟の建物の敷地の場合〉

区分所有建物の登記がされていない1棟の建物の敷地の場合