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27 小規模宅地特例の対象となる駐車場の構築物

相続税の計算では、一定面積の土地について相続税のかかる課税価格を減額する「小規模宅地等の特例」があります。 相続により取得した土地が、被相続人や被相続人と生計を一にしていた親族の事業用の建物や居住用の住宅の敷地であれば、 その土地の評価額は相続人が事業や居住を継続する場合には80%、 継続しない場合には50%の評価減を受けることができるというものです。

この小規模宅地の特例の適用があるかどうかで問題の起こることがあるのか、 空き地を利用した青空駐車場や砂利や小石を敷いただけの砂利敷きの駐車場です。
(注)居住用の土地については、 相続した者が被相続人の配偶者である場合は何の制約もなく、
   また、居住ではなく一定期間の所有を義務づけられることもあります。

駐車場や駐輪場は、それが事業規模で行われていようと、80%評価減となる特定事業用宅地等の対象とはなっていませんので、一般の事業用宅地等として200平方メートルまでの部分が50%評価減の対象となります。駐車場用に使用されている宅地が、事業用宅地等として小規模宅地の特例を受けるには「相当の対価を得て継続的に貸付けられていること」「構築物の敷地となっていること」が要件とされています。

貸付けの規模や設備の状況、営業の状態などは問われませんが、相当の対価(通常の相場の賃貸料)を得て、継続して貸付けを行っていることが必要とされます。ですから、使用貸借(親族などへの無償貸付)や、一時的に場所を提供しているようなケースでは特例の対象とはなりません。

また、小規模宅地特例の対象となる宅地は「建物や構築物」の敷地となっていることが条件ですから、駐車場の場合、地盛りや整地をしただけで「構築物」のない青空駐車場であれば、規模がどんなに大きくても特例の対象にはなりません。駐車場が構築物であるアスファルトやコンクリートなどによる舗装道路であることが必要でしょう。

フェンスや車止め、看板及び街灯等の施設を設けていた駐車場でも、薄い砂利敷きで、地面が露出していたことなどから構築物として認められず、小規模宅地特例の対象にできなかったケースもあります。ただ単に砂利を撒いただけのものであれば事業用の構築物とみるのは無理があるともいえそうです。

駐車場の路面が「構築物」に該当するかどうかで、一定面積までの相続税評価額が半分になるかどうかに関わってくることがあるわけです。

駐車場の構築物イラスト