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インボイス発行事業者以外の者から行った
課税仕入れに係る消費税等


インボイス発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る取引について税抜経理方式で経理をしている場合であっても、その取引の対価の額と区分して経理をした仮払消費税等の額は、当該課税仕入れに係る取引の対価の額に含めて課税所得金額を計算することとされています(国税庁「消費税法等の施行に伴う法人税(所得税)の取扱いについて14の2」)。控除対象外消費税額等として取り扱うことはできません。

1. 控除対象外消費税額等

税抜経理方式を採用している場合において、その課税期間中の課税売上高が5億円超又は課税売上割合が95%未満であるときは、その課税期間の仕入控除税額は、課税仕入れ等に対する消費税額等の全額ではなく、課税売上げに対応する部分の金額となります。この場合には、仕入税額控除ができない仮払消費税等の額が生じることになりますが、この控除できない部分の金額を「控除対象外消費税額等」といい、次のいずれかの方法によって処理することになります。

  処理方法
資産に係る
控除対象外
消費税額等
(1)
その資産の取得価額に算入し、償却費として費用処理
(2)
次のいずれかに該当する場合には、その全額を費用処理
イ その事業年度又は年分の課税売上割合が80%以上
ロ 棚卸資産に係る控除対象外消費税額等
ハ 一の資産に係る控除対象外消費税額等が20万円未満
(3)
(1)及び(2)以外の場合は、「繰延消費税額等」として資産計上し、60ヶ月で費用処理
資産以外に係る
控除対象外
消費税額等
その全額を費用処理
ただし、交際費等に係るものについては交際費等の額に加算して、交際贅等の損金不算入額を計算

2. インボイス制度により控除できない仮払消費税等の額の取扱い

インボイス制度導入後は、インボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れについては、税務上、仮払消費税等の額はないこととされます(一定期間は80%相当額又は50%相当額を仮払消費税等の額とする経過措置あり)ので、控除できない部分の金額について、控除対象外消費税額等として取り扱うことはできません。課税期間中の課税売上高が5億円以下、かつ、課税売上割合か95%以上で控除対象外消費税額等が生じることなく、消費税の計算において仮払消費税等の全額を控除できる場合であっても、インボイス制度により控除できない(ないものとされる)仮払消費税等の額は当該取引の対価の額に含める必要があります。

仮払消費税等の額