前の解説へ 次の解説へ

306

死亡退職金を受領したときの課税関係


死亡退職金を受け取ったとき

被相続人の死亡によって、被相続人に支給されるべきであった退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与を受け取る場合で、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものは、相続又は遺贈により取得したものとみなし、相続税の課税対象となります(相続税法第3条第1項第2号)。

なお、死亡後3年を経過した後に確定した死亡退職金の支給を受けた場合には、その支給を受けた方の一時所得になります(所得税法基本通達34-2)。

相続人が受け取った退職手当金等は、その全額が相続税の対象となるわけではなく、すべての相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれません。)が取得した退職手当金等を合計した額が、非課税限度額以下のときは課税されません。

非課税限度額は、「500万円×法定相続人の数」になります。

法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数になります。また、法定相続人の中に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までになります。

具体的な例で確認しましょう。

被相続人の死亡によって退職手当金等を次のとおり受け取ったとき

配偶者 2,000万円
長男 1,000万円
二男 1,000万円
三男(相続放棄)  500万円

(1) 非課税限度額の計算

500万円×4人(法定相続人の数)=2,000万円
(注)三男は相続を放棄していますが、法定相続人の数には算入します。

(2) 各人の非課税金額の計算

配偶者  2,000万円×2,000万円÷4,000万円=1,000万円
長男 2,000万円×1,000万円÷4,000万円=500万円
二男 2,000万円×1,000万円÷4,000万円=500万円
三男 相続を放棄しているため、非課税金額はありません。

(3) 各人の課税価格に算入される退職手当金等の額

配偶者  2,000万円−1,000万円=1,000万円
長男 1,000万円−500万円=500万円
二男 1,000万円−500万円=500万円
三男 500万円−0万円=500万円