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49 戦略的確定申告!How To

いよいよ恒例の所得税の確定申告シーズンがやってきました。
景気は最悪期を脱したようですが、まだまだ状況はきびしいところです。宝くじで一攫千金という夢の買い方もありますが、確定申告で税金を取り戻すというのも賢い方法です。
そこで、還付申告にあたってのポイントとして、今回は次は2つの視点からアプローチします。

視点1 優遇税制を活用する
視点2 損を徹底的に利用する


> 第一の視点は、“優遇税制の活用”です。

マイホームをローンで購入した方 2003 年に入居した場合、最長 10 年間にわたり借入金残高の1%(年間最高 50 万円)が還付されます。
医療費の年間支払額 10万円を超えた方 10 万円を超えた金額にご自身の実効税率を乗じた金額相当額が還付されます。例えば、年収 360 万円の単身サラリーマンが年 25万円の医療費を支払った場合、10 万円を超える 15万円に実効税率 10%を乗じた 1 万 5,000 円が還付されます。その年に「歯科治療」「入院」「出産」のいずれかがあったら、大きな還付チャンスです。
配当収入があった方 2003 年の上場株式等の配当に対する税金は、3 月までは 20%、4月以降は 10%です。実効税率が、この税率よりも低い方は、確定申告で税金が還付されます。


> 第二の視点は、“損の徹底利用”です。

マイホームを売却して損がでた方 2003 年にマイホームの買い替えをし、売却損がでた場合に、まず本年分の他の所得(例えば給与所得等)から売却損を差し引き、引けない損が残ったとき、残りの売却損を翌年(2004 年)以降3年間繰越できます。
ゴルフ会員権を売却して損がでた方 売却損にご自身の実効税率を乗じた金額相当額が還付されます。
売却損は、売った値段から買った値段と売買手数料を控除した赤字の金額です。
転勤等でマイホームを賃貸して損がでた方 賃貸損にご自身の実効税率を乗じた金額相当額が還付されます。
賃貸損は、賃貸収入から必要経費を控除した赤字の金額です。
必要経費には、固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費、借入金の利息等があります。
災害等に遭われ被害を受けた方 住宅・家財の大規模災害で、所得金額が 500 万円以下(単身サラリーマンなら収入約 690 万円)のときは税金が全額戻ってきます。500 万円超のときは、税金の 1/2 〜 1/4 又は被害額に実効税率を乗じた金額相当額が戻ってきます。
株式投資で損がでた方 譲渡損がでたときは損を翌年以降 3 年間繰越した方が得です。特定口座を2つ以上持っていて、あるいは、特定口座と一般口座を持っていて、それぞれ損得が生じている場合には損得を通算した方が得です。この場合には、確定申告が必要です。また、トータルの利益が 38 万円以下の場合も確定申告した方が得です。