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98 事業承継税制の拡充

1.取引相場のない株式についての相続税の納税猶予制度の創設

中小企業の事業承継を円滑に行うことはわが国の経済の今後にとって非常に重要な問題でしたが、事業承継を支援するための制度が創設されました。

事業承継相続人が一定の非上場株式を取得・経営していく場合には、その事業承継相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した議決権株式等に係る課税価格の80%に対応する相続税額が猶予されます。この制度は事業円滑化法施行日(平成20年10月1日予定)以後の相続等から適用されます。

換金価値の乏しい取引相場のない株式が相続財産全体に占める割合が高い中小企業のオーナーにとっては、相続税の負担が大幅に軽減されることになり、事業承継が非常に行いやすくなったといえます。

なお、この納税猶予の適用を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。
・相続税の法定申告期限から5年間事業を継続すること
・事業承継者が法人の代表者であり続けること
・雇用の8割以上を維持し続けること
・取得した対象株式を継続保有し続けること
など、これらの要件を満たさなくなった場合には納税猶予が取り消され、猶予されていた税額と利子税を合わせて納付しなければなりません。

 

2.相続税課税方式の見直し

上記の事業承継税制の導入に併せて、相続税の課税方式の見直しが検討されることになりました。現行制度は被相続人の遺産の総額から相続税額をいったん計算し、その相続税額から取得した財産に応じて各相続人の相続税額を按分計算する仕組みです。それが、相続人が実際に取得したそれぞれの財産に対してダイレクトに課税するという「遺産取得課税方式」への変更が検討されています。

実際の改正は平成21年以降の見込みですが、この改正により現行税制と比べ相続人によっては相続税負担が大幅に変動する可能性もあり、改正内容の動向が注目されます。